今回は中華タブレットレビューです。ゲームや簡易編集も出来る性能を備えつつ、かなりの安価で入手が可能なタブレット『Chuwi Hi9 Tablet PC』を入手しました。こちらはGEARBESTにて2万円ほどで購入が可能です。
旧Hi8、Hi10が2015年の発売だったので実に2年ぶりの新ラインナップとなります。果たして性能はどのように引き上げられたのでしょうか。レビューをどうぞ。
Chuwi Hi9のスペック表
旧機種Hi8と比較したHi9スペック詳細
Chuwi Hi8 | Chuwi Hi9 | |
---|---|---|
ディスプレイ | 8.0インチ ips | 8.4インチ ips |
解像度 | 1920×1080 | 2560 x 1600 |
Soc | Z3736F 4core 2.16GHz | MTK8173 4core 1.9GHz |
GPU | Intel HD Graphics | PowerVR GX6250 |
システム | Android4.4&Win10 | Android7.0 |
メモリ | 2GB | 4GB |
ストレージ | 32GB | 64GB |
カメラ | 2MP 0.3MP | 5MP 2MP |
Bluetooth | 4.0? | 4.0 |
WiFi | /b/g/n/ | a/b/g/n/ac |
microSD | 対応 | 対応 128GBまで |
バッテリー | 約4000mAh | 5000mAh |
サイズ | 207x122x7.9 310g | 216x128x7.9 353g |
値段 | 1.5万円前後(当時) | 2万円前後 |
その他 | 3.5イヤホンジャック | 3.5イヤホンジャック |
上記がHi9のスペック情報となります。おおよそ2K(WQXGA)程度に引き上げられた画面解像度はかなり魅力的ですね。この高解像度IPSを搭載した製品が2万円で入手できるのは嬉しい。
SOCはMediaTek社製のものを搭載。聞き慣れない製品ですが、中華系ではよく搭載されるCPUです。一部のスマートウォッチ等でもMediaTek社製のものを見かけます。性能は中堅程度。悪くはありません。
メモリ・ストレージは2万円を切る製品としては十分な容量と言えるでしょう。この価格帯で4GBメモリを搭載しているのは好印象です。ストレージも標準(32GB)以上です。microSDカードで拡張することもできますので特に問題はないでしょう。
旧Hi8と比較すると、全体的に大型化、高画質化等スペックアップしている印象。しかしWin10のデュアルブート機能は廃止になったようです。(これは当時の中華タブ界で一時的に流行ってただけですがね…)
その他、イヤホンジャック、WiFi等申し分ないシステムを搭載。気になる点としては、Bluetoothが4.1でないこと、カメラ性能が少々低めなことの2点が気にかかりますね。
見た目の印象:少々チープさが目立つ
いつも通り厳重な梱包でGEARBESTから到着しました。発送から5日程度で届くレスポンスの速さには毎回感心しています。筆者は色んな中国系通販サイトを利用してきましたが、中には1ヶ月経っても届かないところも多いです。
梱包パッケージはスマホのソレと比べるとサイズ感がかなりデカく、机に収まりきりません。重さもズッシリしています。また、中身は未開封状態であったため、海外用ROM入れ等GEARBEST側が弄っている痕跡はありませんでした。
早速開封してみました。Hi9本体は保護シート等で厳重に保護されています。付属でアダプタと通信充電ケーブルが付属します。付属品は最低限、パッケージはかなりシンプルです。費用を抑えるという面では評価できます。
あと、中国製品を輸入した事がある人なら分かるかと思いますが、開けた時の独特のケミカル臭が凄い。中でもこのパッケージは中々強力な匂いです。健康的に大丈夫なのか若干不安になりました。笑
本体の外観はこんな感じ。本体が真っ黒なので薄く見えますが、持ってみるとそこまで薄くはないです。また、素材がプラスチックで構成されているため、見た目の感覚よりかなり軽い印象を受けました。
もう一つ気になる点を上げるとすると、『本体の軋み』が気になります。パキパキするというか、取り付けが甘いと言うか…。軽く捻るとミシミシ言う感覚。恐らく落としてしまうと後ろのカバーがガバっと取れるでしょう。
こちらが裏面です。つや消しデザインでシックに纏まっています。アルミ等の高級感には負けますが、意外と裏面は悪くないです。右下にはスピーカーが付いています。センターの『Chuwi』ロゴはシールや印刷等ではなく、しっかりと凹凸に加工されています。
背面左上にはカメラを搭載。サイド上部にはmicroSDが挿入できるようです。その他イヤホンジャック、充電等も全て上部に設置されています。充電が上側に設置されている機種は結構珍しいかも?
サイドには電源ボタンとボリュームボタンが配置されています。押し心地は『カチッ カチッ』という軽めの感覚。上品な感じではありませんが、押しにくいこともないので悪くはないです。
IPS液晶はなかなかの物:WQXGAの真髄
やはり、8.4型のタブレットともなるとフルHDでは満足できない層が増えてくると思います。「2k解像度は欲しい…でもお金は節約したい…」Hi9はそんなユーザーにピッタリな一台となるかもしれません。
おおよそ2kで構成されたIPS液晶はなかなかの物です。youtubeなど動画鑑賞、書籍の閲覧等全てにおいて非常に美しく表示してくれます。このクオリティを2万円で体験できるのは素直に嬉しい。この機体の押しポイントと言えるでしょう。
写真など記事レビューで上手く伝えられないのが残念ですが、発色も良く納得の行くクオリティです。欠点といえば、高解像度過ぎるが為にバッテリーが若干減りやすいということでしょうか。
やはり、フルHDやHD解像度のタブレット端末と比較すると、画面表示時のバッテリーの減り具合が少々早いように感じます。この点は一般的な液晶+高解像度の宿命でもあるため、仕方ないのかもしれません。
また、画面比率が16:9ではない為、youtube等をフルスクリーンで視聴した際に画面上下部に黒帯ができる点にも注意です。視聴している限りでは黒帯はあまり気になりませんでしたが、苦手な人も多いと思うので念の為。
実際に3Dゲームプレイでスペック検証
中華タブレットの性能を測るには実際にゲームをするのが一番!ということで数種類のアプリゲームをプレイしてみました。恐らく性能の比較として最も参考になる部分です。
いつもと同じように、今回も実際にプレイしている映像をyoutubeにアップロードしております。実機で撮影しておりますので画質落ち等ありますが、フレームレートの参考にはなるかと思います。
録画設定:720p
録画ソフト:GooglePlayゲーム
リネレボ
画質設定:全てを『高』に変更してプレイ
まずはリネージュ2レボリューションをプレイ。有名な高グラフィックスMMOです。ロード等に若干のカクつきは感じるものの、高設定でも難なくプレイすることが可能でした。タッチ操作や戦闘も非常にスムーズ。
設定を落とせばもっと快適にプレイすることが可能かと思います。十分ガチプレイできる範囲と言えるでしょう。画面も大きくプレイすることができるので、『ゲームしてる』感がスマホより強いです。
恐らくですが、このゲームアプリが高設定動くのであれば、他の大抵のスマホゲームは快適にプレイできるでしょう。(物によっては設定等で調整する必要はあるかと思います。)
デレステ
画質設定:3Dリッチ
お次はアイドルマスターシンデレラガールズをプレイ。設定は最高画質にしてみました。2D操作時は非常にキビキビと動きます。3Dプレイ時も全体的に動作自体は可能でしたが、たまーにカクつく印象。『Redmi5Plus』と同じぐらいかな?
これには後述する『CPUのマルチタスクが弱い』ことも影響していそうです。GPUよりはCPUが足を引っ張っているイメージ。正直3Dリッチより設定を下げたほうがいいかもしれません。
更にもう一つ気になる点が…。タッチ反応が少々鈍いのです。2回ほど思ったようにタップできないタイミングがありました。ソフトタッチすると反応しないことがあるので、しっかり押す必要があります。
ガラスフィルム等を装着すると更に反応が鈍くなりそう…。近頃はフィルム装着を視野に入れて、少々過敏に反応するように設計されているスマホも多いので、この点は音ゲー用途にはちょっと困るかもしれません。
荒野行動
画質設定:デフォルト設定
荒野行動もインストールしてみました。部分的にカクつきます。特に大量の建物データを読み込む場面や大勢のキャラクターをロードする際にもたつく印象。草原を歩く等の場面では快適にプレイすることができましたが、大きな街はキツイです。
設定を落とせばもう少しマシになるかもしれませんが、満足のいくプレイは厳しいかもしれません。特に、街はしんどい。ゲームにならない場面がありました。(録画を辞めればもう少し快適に動きます)
個人的な感想ですが、荒野行動を目的としてこの機体を購入するのはNGだと思います。ロードしてしまえば楽なのですが、ロードまでに撃たれたら意味ないですからね…。
キャラバンストーリーズ
画質設定:標準画質
最後にキャラバンストーリーズをプレイ。スマホとは思えないグラフィックが評判のアーミング社の高品質PRGです。サクッとインストールして起動してみたのですが、非常に重い。音声もずれるし、ロードもマトモに進まない…。
結論を言うと『プレイ不可』でした。待ち時間が長すぎるし、操作もカクついて進行できなかったです。さすがにこの機体では厳しかった…。もしプレイしようと思っているユーザーがいたら要注意です。
追記:録画を解除してプレイしたら「ギリプレイできるかな?」程度には動きました。とはいえモッサリなことに変わりはありません。
Hi9の各種ベンチマーク結果
スマホ・タブレットを買ったらまずコレ!という主要3ベンチマークソフトを回してみました。Antutu、Geekbench、3DMarkの3つです。他の機種と比べる指標にどうぞ。
Chuwi Hi9 | Redmi 5Plus | |
---|---|---|
Antutu | Total:88544 | Total:75975 |
Geekbench | Single:1467 Multi:2952 | Single:845 Multi:4150 |
3DMark | Sling:967 Ice:13231 | Sling:839 Ice:13529 |
Antutu 7.0.4
AntutuはV6ではなくV7版を使用。V7では全体的にスコアが上がるようです。マシン全体の総合スコアは88544という結果になりました。うーん。格安ミドル帯と言える程度の性能でしょうか。
前回の『Redmi 5Plus』が75975だったことを考えるとスコア的には上ですね。同じような価格帯なので、純粋に喜んでもいい性能ではないでしょうか。(参考までに、mi6は200000ぐらいです。)
Geekbench4
Geekbench4はCPU測定に特化したベンチマークソフトです。結果はシングル1467、マルチ2952となりました。ムムム…。マルチスコアがちょっと低いですね。『Redmi 5Plus』がシングル845のマルチ4150だったことを考えると、極端にマルチ性能が低いです。
mediaTek社製Socのクセということでしょうか。また、この機体は操作時に若干のレスポンスの悪さを感じるのですが、もしかするとこの辺のスペックが影響しているのかも?
3DMark
最後に3Dゲーム性能を図るソフトウェアである3DMarkのベンチマーク結果です。今回はSlingShotとIceStormでテスト。結果はSlingShotが967、IceStormが13231でした。どちらも前回の『Redmi 5Plus』と似たような結果となりました。
ゲーム用タブレットとしては『ちょっと物足りないかな?』といった結果です。とはいえ格安帯のベンチ結果としてはかなり優秀と言えるでしょう。
バッテリー持ちと電源周りの話:海外アダプタ
今回届いたHi9はグローバル仕様ということもあり、ACアダプタが海外仕様の2PINタイプです。使用にはパソコンショップ等で売っている変換アダプタが必要となります。(電圧等は日本の規格に対応しているため、変換のみで大丈夫です)
とはいえ、付属のmicroUSB充電ケーブルをダイソー等のAndroid用充電アダプタに挿せば普通に使用できますので、こちらのほうが安上がりかもしれません。お好みでどうぞ。それにしても海外仕様の充電器はデカイ…。
Work2.0によるバッテリー検証結果
これを最優先事項としているユーザーも多いであろう、バッテリー持ちの話です。Hi9は8.4インチという画面の大きさや高解像度ということもあり、正直言って体感できるバッテリーの減り具合は早いです。
そこで今回は『PCMark Work2.0』を使ってバッテリー持ちをチェック。このアプリは、通常のスマホ・タブレット使用と変わらない動作を繰り返すことによって、機体が何時間でバッテリー切れとなるかと調べることができる優秀なツールです。
結果は4時間35分となりました。参考までにMi6は10時間程度、Redmi5Plusは12時間程度です。こうやって比べるとかなり短いな…という結果です。画面もデカイし、解像度も高いので仕方ないんですかね…。
また、待機時のバッテリー減少においても、MIUI9(Xiaomiの独自OS)よりは減りやすい印象。この点は通常のAndroid7より、強力にバッテリー消費を抑えるMIUIが優秀なだけですが…。
カメラ性能はあまり期待しないほうが良い
本体背面左上に設置されたメインカメラ。最近流行りのデュアルカメラ構成などではなくポートレート風撮影などはできません。
性能に関してはメーカー公表スペックの時点で5MPと、標準よりかなり抑えめの性能となっているので期待している人は少ないかと思いますが、せっかくですので室内、屋外と数枚撮影してみました。
上記は室内の写真。色合いが若干青みがかるというか、不自然なコントラスト・カラーバランスになりました。撮影時のイメージでは全然綺麗なカラーだったのですが、いざ画像をみると微妙…。
こちらが屋外での写真。室内に比べるとかなり違和感のない仕上がりとなりました。太陽下ではある程度の撮影ができるようですが、室内、画面等の撮影は苦手なようです。この特徴は安物カメラの宿命ですね…。
ラスト一枚は夜に屋外で撮った画像。暗闇では画質の粗さが目立ちます。夜景等の撮影には不向きだと言えるでしょう。
音質の話:スピーカー、案外悪くないぞ!
本体背面右下に設置された単独のスピーカー。物凄くレベルの低い音が流れそうな見た目ですが、いざ再生してみるとそこまで悪くない。(元々期待せずに聞いたということもあるかもしれないが…)
『低音が効いている!』とか『クリアなサウンドが素晴らしい…』などといったことは一切ありませんが、普通にyoutubeで動画を見る際にストレスが溜まるほどでもありません。普通に聴けるレベル。悪くないです。
本体上部にはイヤホン端子を搭載。挿し心地はかなり硬い。結構力を入れないと入りませんでした。音質は至って普通といったところ。システム単位で音を改変しているような素振りもなく、そのままの音声が流れてくる印象。
逆に言うと音が良いとも感じないです。音声に関しては元から力を入れている部分ではないと思うので、ここは妥協ポイントでしょう。
システムは標準のAndroidを搭載
パッケージが未開封状態だったこともあり、妙な改変やカスタムROM等は導入されていないようです。初めからグローバル仕様の物が出荷されている模様。この辺は以前入手した『Onda80Tablet』などとは違う部分です。
起動した時点で言語の選択があり、日本語が標準で選択可能です。選べはすぐに日本語でセットアップが可能でした。その他OSの仕様も普通のAndroid7.0です。(MIUIなどのようなカスタム要素は一切ない)
インストールされているアプリも必要最低限です。Google純正の最低限必要なアプリに加えて『ESファイルエクスプローラ』が入っている程度。不必要ならアンインストールすれば良いだけです。
無駄なものが一切ないので、構成としてはかなりシンプルです。日本スマホあるあるですが、メーカー専用の重いソフトウェアなどが一切入っていないのは好印象です。
カクつきが少々気になる
システム全体で気になることと言えば『性能のわりにカクつく』ということでしょうか。ベンチマークスコアはそれほど悪くないのに、様々な場面でカクつきを感じます。スクロールなどもスムーズに動かない印象。
スリープ復帰も結構遅いです。電源ボタンを押してからメッチャ待ちます。「あれ、ちゃんと押せてなかったかな?もう一回押そう」となるぐらいには遅い。所々レスポンスの悪さを感じます。
総評:電子書籍閲覧、動画鑑賞用と考えれば快適
如何だったでしょうか。今回は3Dゲームをメインにプレイしたレビューとなりましたが、残念ながらゲーミングタブレットと呼べるほどの結果とはなりませんでした。しかし、リネレボ等が快適にプレイできるだけの性能はありますので、大抵のゲームは設定次第でプレイできるでしょう。
荒野行動などフレームレートを気にする最新3Dゲームだけ、動作に難があるという印象です。『Fate Grand Order』や『パズドラ』『モンスト』等は問題なくプレイが可能です。
また、ゲームに拘らずともYouTube、ニコニコ動画鑑賞やKindle等の電子書籍閲覧においては非常にスムーズに使用できます。むしろ、こっちをメインに使う人にオススメしたいタブレットです。解像度も高いし…。
軽くゲームをする人で、普段は動画鑑賞や電子書籍を見たい方にはなかなかのコスパではないでしょうか。サイズ感、液晶品質を考えれば2万円という価格で十分満足の行く一品です。
※現在の価格は【GEARBEST様の販売ページ】からご確認ください。
■良いところ
・標準的な3Dゲームはだいたい動く
・電子書籍閲覧、動画視聴等はかなり快適
・ほぼ2Kの高解像度IPSが綺麗、動画と相性がいい
・この液晶&4GBメモリを積んで2万円という価格
■悪いところ
・高スペックを推奨するゲームはマトモに動かないことがある
・タブレット全体の操作が若干カクつく、レスポンス遅め
・タップの反応がちょっと悪い
・バッテリーはあまり持たない。ロングライフではない
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