VRノベルゲーム『Project LUX』本格レビュー|近未来SFなVRアニメ

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VR-VirtualReality

2017年のゲームになりますが、長年積みゲー化していたモノをようやく消化したのでレビューです。(普段、VRフリゲー連載をしていることもあり、有料ゲームをする時間がなかなか作れない…)

今回のソフトウェアは『Project LUX』というVRゲーム。Steamで2000円程度で購入可能です。珍しい日本発のVRゲームであり、日本語、英語、中国語に対応。1人の少女と義体化ロボットの近未来ノベルとなります。

 このレビューは、ゲームプレイに支障がでない程度のネタバレを含んでいます。

本編は3カ国語対応:スタート画面まで美しい

ゲーム開始画面は美しい水の空間と全面に反射した空の世界。後のストーリーに登場しますが、非常に美しいビジュアルです。

解像度は2017年作ということもあり少し低めに設定されています。その分動作は軽いですが、遠目はドットが目立ちます。(SteamVRの解像度設定で強制的に上げることは可能です)

ストーリーはChapter構成となっており、エピソードが5つ、その中のチャプターが合計20ほど用意されています。

体験時間は1時間オーバーぐらい。2000円で1時間と考えると購入をためらいますが、プレイ後の満足感は2000円以上。といえば製作者の役に立てるでしょうか…。それぐらい満足度は高い。

メニューから自由にチャプターを選んで始めることができます。もちろん、セーブ、ロード機能もあるのでイッキに1時間プレイする必要はありません。

他にもメニュー内に『言語設定』『字幕設定』があり、それぞれ英語、中国語、日本語に切り替えることができます。この辺は流石有料ソフトといったところ。

プレイヤーはエージェントの記憶を追体験する

基本的にゲーム進行は一人称視点となります。プレイヤーは義体化(ロボット。サロゲートみたいな感じ)しているエージェントの視覚と聴覚を『追体験』するという設定です。

追体験という単語が好きすぎる筆者には堪らない演出(ソウル・サクリファイスとかマジで好きなんです)。なお、追体験という設定ですので移動など体を動かすことはできません。

視覚や頭自体は動かすことができます。360度自由に動けるのでリアルの部屋で物理的に動ける範囲で観察できます。

システムにはUnityが使われているのでこの辺の操作周りは非常にスムーズ。各チャプターごとにフェードアウトすることによってシーンを上手く切り替えています。(シームレスなロードができないUnityの弱点を上手くカバーしている)

またコントローラが無い端末にも対応できるように選択肢や操作は視点移動で行うように調整されています。(スタート画面除く)といってもモノを見たり一回だけの選択肢を選んだりするだけなので簡易的です。

一応エージェント(プレイヤー)にも体は用意されており、下を眺めるとエージェントの身体を確認できます。なんとも言えない違和感。

Luxの滑らかな動きが凄すぎて泣いた

今回のヒロイン、というかメインキャラはLUXと呼ばれる人間です。ほぼ全ての人類が電脳化した世界において、辺境の地で人間として暮らしているLUXの元に1人の義体化エージェントが派遣されるというお話。

LUXにはかなりの有名声優も起用されており、さすがの演技力に有料製品の迫力を感じます。もうこの部分だけで2000円の価値ある。うん。

この製品は『LUXのなめらかな動き』に膨大な時間がかけられており、調整の努力が半端なく感じられます。まさに全盛期のMMDの動き。担当は経験者なんじゃないだろうか。

恐らくモーションキャプチャを利用しているハズです。でないとあそこまで自然な人間の動きは再現できない。それでも、地面と足の関係や手と物体の接触などに膨大な調整が必要になるのですが。

5分のMMDでも数ヶ月かかるレベルなのに、この調整を1時間分していると考えると恐ろしくなります。エンドロールを見る限りスタッフもかなりの少人数です。

盛大なネタバレになるので詳しくは言えないのですが、絶対に2周目でしかわからない細かなポイントにまで動きや調整が加えられており、2周目で気づいたときに変な声がでました。

とにかく、このゲームはLUXの動きに全勢力が注がれています。あまりにも自然すぎる。1時間プレイしていて使いまわしも無いのがマジで凄い。

ストーリーも近未来SF設定で最高に上がる

LUXの動きが凄くて、追体験というプレイの没入感を高める設定もある。じゃあストーリーはどうなの?ということですが、こちらも大変に構成が練られています。

プレイヤーは主人公であるエージェントの記憶を追体験するのがメインのストーリーですが、この『見ている私達』への質問投げかけもあったりするので、世界観はかなり深いです。

1時間のプレイ時間内で出会いから、感情の変化、急変する展開、最後にどんでん返しと見事にストーリーを動かして纏めています。Steamならではの荒削り感は全然無いです。

特に、後半にわりかしシリアスな展開になるのは驚きました。前情報が無かったこともあり「LUXたんといちゃラブなゲームだよなー楽しみー」ぐらいの感覚で起動したので大変反省しました。

マジで素晴らしい。そんな無限にラブラブしているゲームよりメリハリがあって引き込まれる。キャラクターの存在や想いをより色濃く感じられる展開に関心しました。

また、登場人物は確かに2人しかいないし後半も出てこないのですが、見せ方が上手すぎるせいで非常に壮大な世界観に仕上がっています。(とくに後半)

どこか優しい終末感が漂っている作品、私はとても好きです。

風景の美しさも大事なポイント

物語の途中で、映像疑似世界を創る装置が登場するのですが、この装置が起動している時の世界風景が非常に美しい。

前述したウユニ塩湖のような空と水の空間も最高だし、夕焼けが反射する水面空間も息を呑む美しさです。なんで解像度が低いのか!なぜだ!と悔しくなる…。

他にも広大な星々を眺める宇宙空間も見られるし、LUXの住むウッドハウスも非常に丁寧に作られています。どれも1級のVR風景です。

唯一残念だったのが、夜の景色です。Unityの明暗表現特有の効果というか、夜が少し明るすぎたように感じました。妙な明るさというか…。LUXに「夜だよ」と言われるまでよく理解していなかったです。

Project LUXはVRノベルゲーの王である

ProjectLUXは新時代のノベルゲームを体験できる優秀な作品でした。最近では『東京クロノス』などが同ジャンルに当たる作品になるのではないでしょうか。あちらも大変評判が良いVRノベルゲーです。

このProjectLUXの影響を受けて制作されたVRゲームは多々あるように思います。昨年プレイした『The Scent of Summer』などはかなり近い作品に感じました。

ノベルゲームはその性質上、派手なアクションや動きが無く海外勢が制作することが非常に少ないゲームです。そのため日本発がメインとなり本数も少ないのが現状です。

今後急激に増えるようなことは恐らく無いですが、私もこうやって発信していくことでこのジャンル応援したいと思っております。(自分もMMDノベルや作品は長く作っていた身ですので…)

というワケで、最高に満足度の高い作品ですので興味を持った方、まだプレイしていない方はぜひ一度プレイしてみてほしいです。「むしろ2000円でいいのか?もっと払いたい…」と思います。ホントに。

ProjectLUXはHTCViveの他にOculus、PlayStationVRでも体験することができます。システムや解像度のことを考えるとPlayStationVRでも不便なくプレイできるでしょう。

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