私がPCの本格的なVR装置を手にしてから2年が経とうとしています。ある時はフリーゲームを片っ端から貪り、ある時はソファで寝ながらVR映画館鑑賞、バーチャルデスクトップによるネットサーフィン等、人より多くの時間をVRに費やしてきました。
そんな2年間を過ごしているうちに様々な『身体的変化』を感じるようになりました。今回は私が実際に経験した変化・体験と、VRの長時間使用によって起こると言われている身体異常について纏めました。
感覚の異常・錯覚
VPCRの世界は、画質などのクオリティが上がれば上がるほど、その距離感や立体感がリアルになります。眼の前の巨大な怪物を本気で怖いと思いますし、リアルな吊橋を渡ればちゃんと高所の恐怖が襲ってきます。
実際に体験した友人の中には、吊橋で足が震えるほどの恐怖を覚える人もいたぐらいです。それほど、高画質な体験はリアルです。このような体験を長期的に続けていると、やがて現実との区別がつかなくなってくるのでは?という話。
海釣りで感じた”VR感”
今年の話なのですが、私は海釣りに出かけていました。高所恐怖症ですので、いつも堤防など安全な場所で釣りをしています。足場の悪い場所や落ちたら痛そうな場所には近づきません。
しかし、最近になってテトラポッドなど足場の悪い場所が怖くなくなってきたのです。飛び越えて、普段いけない釣り場までたどり着けるようになりました。『慣れかな?』とも思ったのですが、明らかにおかしい部分が一つあったのです。
それは、断崖絶壁のような岩場でのこと。どう考えてもジャンプで届きそうにない岩と岩の隙間(下は奈落のような海)をなぜか『飛び越えられる』と錯覚したのです。非日常の岩場という空間が『VRの世界』を見ているような感覚になりました。
断崖絶壁が全く怖くなく、一瞬ですが『どうやって飛ぼうかな』ぐらいのゲーム感覚に見えたのです。今考えても恐ろしいのですが、完全に『VR空間』でした。
また、この現象に関しては長時間VRを体験してもらった数人の友人からも『ちょっとわかる、現実がVRの世界に見える時が一瞬ある』という意見を頂きました。ある程度共通して感じる現象のようです。
リアルなVRは幼い子供には危険過ぎる
まず、この件を通して伝えたいことは『VRは幼い子どもにやらせないほうが良い』ということです。大人よりも『現実』という認識がハッキリとできていない子供には、このシステムはあまりにも危険すぎます。
今はまだ大した問題ではありませんが、技術向上によってVRのクオリティが上がるにつれて、この錯覚はよりリアルなものとなるでしょう。将来的にはハッキリとした年齢制限を付ける必要が出てくると思います。
そしてもう一つ、VRは高所恐怖症などの『恐怖症や苦手なものの克服』に使えるかもしれない、ということです。特に高い所などは『慣れ』によって症状が緩和する可能性を秘めていると感じました。
実際に落ちるわけではないのでかなりスリリングな高所体験が可能。今後リアルさが増せば立派なシミュレーターとして活躍してくれることでしょう。
一番驚いた効果:視力回復
正直、VRを長時間プレイする前は、この件に関して否定的な意見でした。しかし、2年間もプレイすると明らかに視力が回復していることを実感せざる負えないのです。これはこの身をもって実感した変化です。
視力は”一時的に”回復する
注意していただきたいのは永久的・長期的に視力が回復するのではなく『プレイ後一時的に回復する』ということです。長時間のVRプレイ後は明らかに視力が回復します。ホントに遠くのものがよく見える。
オカルトではないです。私は自分の身体で実感しましたが、海外ではしっかりと研究されたデータも存在します。↓
筆者は毎日プレイしているワケではなく、場合によっては月に1,2回程度しかプレイできないこともありますので、あくまで『一時的な回復』ですが、しっかりと視力回復プログラムを組み、視力が低下する事柄を避けながら毎日VRをプレイすれば、長期的に視力が回復する可能性があります。
VRは『斜視』等の問題が出てくるとも言われることから、単に視力回復目的で使用するのは正しくありませんが、将来的にはこの効果にピンポイントで的を絞った装置が出てくる可能性があるかもしれません。
目が疲れるという意見もある
私は何時間VRをプレイしても”目の疲労感”は全く感じないのですが(これは2年前から変わらない)VRをプレイした半数の友人が「目が疲れる」と言っているのも一つの事実です。
そりゃあ『近距離でフレネルレンズ越しに有機ELの発光を浴びている』ワケですから、疲れないわけがない、と思ってしまう。私はなぜか疲れないけど…。疲れない方が稀なのかもしれない。
VRの光というものは、言ってしまえば有機ELスマホを近距離で見ているのと大体同じです。いくらフレネルレンズ越しとは言え、光が目に及ぼす影響はゼロではないでしょう。
このような点を踏まえるとVRは『目が疲れるけど、視力が回復するかもしれない』という、なんだか矛盾しているような未知のデバイスと言えるでしょう。今後より詳細で長期的な研究が行われることを期待します。
総評 VRデバイスは身体に毒なのか、薬なのか…
如何だったでしょうか。私が体験した『長期VR使用による身体的変化』は捉え方によっては毒にもなるし薬にもなります。眼精疲労を取り上げて毒ということもできますし、視力回復を中心に考えて薬と評価することもできます。
錯覚体験も同様のことが言えるでしょう。VRによる高所の慣れ、VR感覚の引き継ぎによって高所作業が効率化する可能性があります。また、慣れによって足が震えるような現象が緩和され、逆に安全かもしれません。
対して、過度なVR使用による現実感の喪失で、事故や怪我などを引き起こす可能性があるのも事実です。これに関してはまさに毒と言えるでしょう。やはり、医療利用、長期運用にはまだまだ課題が多そうです。
様々な意見を出しましたが、纏めると「VRにはまだまだ見つけられていない可能性がある」ということ。将来的にこれらを活用した恐怖症治療などが始まった際には、古参VRプレイヤー(笑)として真っ先に体験してみたいと思います。
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