新CPUであるRyzen5やRyzen7で怒涛の快進撃を続けているAMD社ですが、7月に入って、Ryzen Threadripper 1900X,1920X,1950Xのスペックやベンチマーク情報の公開をはじめました。
今回は発売前~発売後の情報を元に、スペックや他のCPUとの比較、検証、ベンチマーク情報等、実際の使い勝手等を纏めました。※情報が更新され次第順次追加していきます。
スペック比較と他社CPUとの違いについて
1900X,1920X,1950Xの詳細スペック
1900X,1920X,1950Xのスペック表
1900X | 1920X | 1950X | |
---|---|---|---|
物理コア数 | 8 | 12 | 16 |
スレッド数 | 16 | 24 | 32 |
クロック | 3.8Ghz | 3.5Ghz | 3.4Ghz |
ブースト時 | 4Ghz | 4Ghz | 4Ghz |
L2 | 5MB※ | 6MB | 8MB |
L3 | 20MB※ | 32B | 32MB |
メモリ対応 | DDR4 2667 | DDR4 2667 | DDR4 2667 |
PCIEレーン | 64 | 64 | 64 |
ソケット | AMD TR4 | AMD TR4 | AMD TR4 |
TDP | 180w | 180w | 180w |
価格 | 549ドル(6.8万程度) | 799ドル(8.8万程度) | 999ドル(11万程度) |
発売日 | 8月31日 | 8月10日 | 8月10日 |
- 価格設定がめちゃくちゃ安い。32スレッドで1000ドル切っている。
- ソケットは一新。TR4という新ソケットを採用
上記内容が大まかなスペックです。恐ろしい価格設定ですね。ホントにもう、デュアルコアで驚いていた世代にはよくわからない数字が並んでいる光景。物理16コアを積んで、値段は999ドルという破格。Ryzen7の時もIntelがかなり焦っていましたが、今回もIntel系の同スペック帯が大変なことになりそうです。
また、オーバークロック等を想定して倍率ロックは設定しないそうです。これは自作ユーザーには嬉しい情報。思う存分ベンチマーク回せます。なお、純正CPUクーラーも付属しない模様。
ソケットは一新されてTR4と言うものに変わりました。これにはワケがあります。というのも、今回のRyzen Threadripperはめちゃくちゃ簡略化して言うと、「RyzenCPUを2つ突っ込んでみました」みたいな感じなんです。その為CPUの物理的なサイズが少し大きくなっており、ソケット形状も異なります。
メモリコントローラは4チャネルに対応。Ryzen7の2チャンネルから倍に増えました。これだけの性能を備えて、この価格帯に抑えているのは本当に凄い。一昔前のAMD嫌いユーザーも心を入れ替えてくれるかもしれません。
Intelも焦っている? Corei9の投入
- Intelの新CPU(ライバル)Corei9も2017年に発売
- 16Core32Threadで1699ドルとRyzenより700ドル高い
- しかしシングルコア性能は優秀
- 同コア帯で勝負するとIntelが勝つが、同価格帯で勝負するとRyzenの圧勝
そして、この発表(発売)に負けじと参戦したのが、Intel Corei9です。こちらも2017年に発売(予定)。本来はXeon用に使う予定だった物をCorei9として、言わばゴリ押しで投入したような状況です。そして、Xeon用といえば、気になるのはやはり価格の問題。
一般的にXeon用の物は高めの値段設定です。というのも製造費自体が高コストだからです。今回のCorei9 7960X(1950Xと同じ16Core32Thread)の価格は1699ドルの予定。Ryzen Threadripper 1950Xと比べると700ドルも高いんです。そう考えるとAMD社のコストパフォーマンスは素晴らしいと言わざるをえないでしょう。
ですが現状では、このIntelCorei9はシングルスレッドあたりの性能が非常に高いので、同コア数のAMDCPUとベンチマーク比較をするとIntelに軍配が上がるでしょう。しかし、同価格帯で比較するとどうでしょう。確実にRyzenのほうがベンチマーク結果を上回ります。
実際に、Ryzen Threadripper 1950Xは、1000ドル以下のCPUの中では、圧倒的に過去最高のベンチマーク結果を叩き出しています。
Ryzen Threadripperのベンチマークテスト結果
CINEBENCH R15
AMD社が公式で、CINEBENCH R15を使ってRyzen Threadripper 1920Xのベンチマーク結果を載せています。対抗馬としてIntelCorei9 7900Xを比較対象としています。1920Xは799ドル、7900Xは999ドルの価格設定です。
Ryzen Threadripper 1920Xのスコアが2431cbなのに対して、IntelCorei9 7900Xは2147cbです。(数値が大きい方が処理が優秀)あくまで有利なベンチマークを公開している可能性もありますが、それでも200ドルほど安いほうのCPUが勝っている結果はインパクトが大きいでしょう。
Ryzen Threadripper 1950Xのベンチマーク結果も登場しています。こちらもCINEBENCH R15を使ったもので、スコアは3062cbでした。このCPUは999ドルで販売されるものですが、1000ドル以下CPUのベンチマークとしは最高性能(スコア)を記録しています。
CinebenchnT
こちらは、ロサンゼルスで行われた記者会見時に公表されたデータになりますが、Ryzen 1950XとIntelCore i9 7900Xの比較が公式で検証されています。値段はどちらも999ドル。CinebenchnTを使ったベンチマークの結果ではCore i9 7900Xを38%上回るという結果になったようです。
その他、POVRayPremiere Pro、Handbrake、7-zip、Veracryptでのベンチマーク結果もデータが上がりましたが、どの結果もIntelCore i9 7900Xを上回ることになりました。
こちらはRyzen 1920XとIntelCore i9 7900Xを比べたベンチマーク結果。CinebenchnTでは11%上回る結果を叩き出しています。価格帯としては1920Xが200ドル安いです。その他のベンチマークでは、PremiereProのみ5%下回りましたが、残りは全て上回る結果に。
この結果から見ても、Ryzen Threadripperはとてもコストパフォーマンスの高いCPUであると言えるでしょう。
その他、パッケージや対応マザーボートの状況、予約など
新ソケットであるTR4に対応したX399チップセットマザーボードはASUS、GIGABYTE、ASRock、MSIの4社から提供される予定であり、現在では約25種類のマザーボードが発売される予定です。(水冷、空冷含む)AMDの公式サイトにいくつかラインナップされていました。早いものは8月10日に同時発売されます。
全体的には水冷構造のマザーボードが多く発売される見込みとなっているようです。確かに、TDP180WのPCを空冷のみでどうにかするのは少々不安かもしれません。
こちらがパッケージ。めちゃくちゃデカイ。過去のAMDのCPUパッケージの中では一番大きいのではないでしょうか。実際に店頭に置いた時のインパクトが凄いことになりそうですね。
なお、日本での予約は8月4日から開始されるようであり、価格は1950Xが145800円、1920Xが115800円(税抜き)になる模様です。・・・なんか海外の価格に比べるとめちゃくちゃ高くないですか?この価格なら、なんとかして海外から輸入したいものです。しかしパッケージがが大きい・・・。
総評 性能別のまとめ
如何だったでしょうか。Ryzen5、Ryzen7の発売時にも多くの反響を呼び世間を騒がせたAMDですが、今回のRyzen Threadripperも世界中で注目されることとなるでしょう。この光景は、本当にAMDの復活劇を見ているようです。
現状のRyzen Threadripperの3種類をスペック別にまとめるとこのような感じになると思います。参考程度にどうぞ。
- 8月10日発売 価格は999ドル(日本では145800円) 8/4予約開始
- 16Core32Threadで、同価格のi9 7900Xを38%上回る
- 一般用途には少々オーバースペックすぎるか
Ryzen Threadripper 1920X
- 8月10日発売 価格は799ドル(日本では115800円) 8/4予約開始
- 12Core24Threadで、999ドルのi9 7900Xを11%上回る
- こちらもなかなかのオーバースペック
Ryzen Threadripper 1900X
- 発売日は8月31日 価格は549ドル
- 8core16Thread
- 一般ユーザー用途としてはまだ現実的なスペック
情報が更新され次第、順次追加していきます。
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