4月13日、ドワンゴとインフィニットループが突如発表した『バーチャルキャスト』というVRソフトウェア。なんと『誰でも、簡単に、バーチャルYouTuberになれる!』というのです。(起動にはHTCViveが必要)
ダウンロードも無料で商用利用も可能という太っ腹なソフトウェアです。しかも生放送対応。ニコニコで有名な『みゅみゅ』さんのシステムを元に作られているそうです。気になったので早速ダウンロード&プレイしてみたレポートです。
DLと初期設定:パッケージはSteamではなく公式から入手する
『バーチャルキャスト』ソフトウェアは公式サイトから直接ダウンロードすることが可能です。HTCVive用ソフトウェアですが、SteamやVivePort等とは連携しておらず、直接アプリケーション単体で起動できます。
公式HPには過去の配信履歴がズラリと並んでいます。どうやらバーキャルキャストにて生放送を開始すると一覧に登録されるようです。チラ見してみましたがかなりの配信数があります。大人気です。
実際に起動してみました。開発はUnityで行われているようです。ニコニコアカウント連携やYouTube、Twitch、ツイキャス連携などができます。生放送先の設定をするとコメント取得などが可能になります。取得したコメントは某生放送のようにVR空間に落とすことが可能なようです。
また、アカウント連携の設定をしなくても起動することは可能です。『自分で配信しない』を選択すれば連携なしでバーチャルキャスト起動ができます。
夢のVtuber空間が広がっている!
起動したらまずは身長と手の長さ設定を行います。これを正しくやっておかないと手がやたら短かったり、身長が低すぎて浮いていたりと自キャラとの連動が上手くいかないので注意。
このIK関連の連動は本当に難しいのです。私も幾つかなりきり系VRゲームを作ってきたので分かりますが、この一瞬の設定で全ての人に対応できるのは凄いです。(本来は個人に合った詳細な設定が必要だと思う)
設定したら早速VR世界へ。そこには殺風景な景色と配信確認用のモニターが設置されています。そして自分のアバターは可愛い少女に…。トラッキングも完璧。ちゃんとVtuberになりきれています。手の連動、頭の連動、非常にスムーズです。
Viveトラッカー等には対応していないようなので、現状は足のトラッキングがありません。全体像を見せてしまうとちょっと不自然なモデルもありますが(足がテクテクしてるというか)、上半身をメインに見せるようにすれば違和感はありません。
追記:VIVETracker、どうやらバッチリ対応しているみたいです。こちらの調査不足でした。「無料ソフトウェアでそこまで設定してあるの…」という驚きを隠せません。これを使えば、片足を上げる等の詳細な動きが可能になります。
Unityアセットプラグインの【VRIK FinalIK】(1万円ぐらい)に似た動きです。
そしてもう一つ感動したこと。音声認識で口が動くんです。ただパクパクするだけじゃなくてマイクの音で口の動きが変わります。「あーー」と「いーーー」では全然開き方が違う。素晴らしい機能です。ライブラリはOculus社の『OVRLipSync』を使っている模様。
その他の機能としては手をグーパーできることなどでしょうか。アップデートで手のモーションや表情が変えられるようになると良いですね。
バーチャルキャストでできること
キャラと背景の変更、オリキャラの追加も出来るぞ!スゲェ…
バーチャルキャスト初期版では7体のキャラクターから自由にアバターを変更可能です。変更はリアルタイムで行われるため、配信中にアバターを変更することも可能。変身中の未来を感じる演出に痺れます。ニコニ立体で公開されているフリーモデルなども選べるようです。
背景も複雑な物はありませんが、6種類から好きなものを選ぶことができます。将来的にはキャラの追加や自作の3Dモデルを読み込めるように調整していくようです。アバターがユーザークリエイトできるようになったら一気に流行りそうですね。アップデートに期待です。
4/20 追記:ドワンゴが新たに発表した新規格である”VRMファイル”で作られた3Dモデルの外部読み込みにアップデート対応しました。ニコニ立体経由でインストールすることができます。もう色々と凄すぎる…。
アイテム利用
ハリセンやマルバツ棒、レーザーポインター、ホワイトボードなどを出現させることができます。これによってホワイトボードを使ったVRお絵かきなどを楽しめます。一部アイテムには効果音があるようです。
各種アイテムを利用すれば、お絵かきクイズや心理テストなどをビジュアルで表現できるため、映像に面白みが増すでしょう。アイテムは今後のアップデートで更に追加されるみたいです。
バーチャルデスクトップ
これもかなり凄い機能。Steamなんかではバーチャルデスクトップ機能だけの有料ゲームもあるのに、バーチャルキャストは無料で利用できます。VR空間にデスクトップの様子を映し出すことができます。
内部プラグインは、筆者もよく利用している『uDesktopDuplication』を使っている模様。これ、無料なのに動作の軽さが凄いんですよ…。オススメです。
コレをつかってVR空間でゲーム配信をしたり、視聴者と一緒に映像視聴したり、ネットサーフィンしたりとかなり夢が広がる機能です。コメント等意見反映のモニターとしても利用可能。コレひとつで非常に多くの遊び方が提案できます。
カメラ移動 ハンディカメラ利用
正面を映し出すカメラは初期設定で表示されていますが(角度変更可能)、これとは別にハンディカメラをアイテムとして出現させることができます。その名の通り手で握って撮影できます。ミライアカリのOPみたいなことができる。
また、気に入った位置に固定しておくことも可能なため、正面カメラでは表現できない角度や距離などから配信を行うことができます。これもかなり優秀な機能。
凸待ち 凸移動
メニューの凸一覧に表示されている配信者のスタジオにお邪魔することができる機能です。基本的には許可してるユーザーのみ表示。特定のユーザーをブロックする機能もあるようです。(現在、一度ブロックしたら解除できない謎仕様)
また、起動時に表示されるスタジオIDを入力してもらうことでユーザーを呼び込むことも可能。こちらの場合はメニューから探す必要もなく、準備中でも侵入することが可能です。
基本的に他人のVR空間にお邪魔することになるので、ある程度の回線環境が”お互いに”必要になります。公式の推奨環境は『上がり15M以上、下り5M以上』です。特に上がりは光回線じゃないとキツイ仕様なので注意です。
録画、動画投稿スタイルであれば低速回線でも問題なし
よくあるバーチャルユーチューバーの配信動画などのように、一度録画して、編集して、動画投稿!というスタイルであれば回線環境が低速でも問題ないです。基本的にはデスクトップに表示されている起動中画面がそのまま録画、配信できるようになっています。
『Open Broadcaster Software』等を使えば簡単にウィンドウ映像を録画できますので、そのまま編集に回して一本の動画にしてもいいでしょう。一度PCゲームの生放送や録画をしたことがあるユーザーであれば同じ要領で作業することができます。
また、コメント連動などをせずに一人で生配信するだけであれば『自分で配信しない』を選択してログイン後、一人でわちゃわちゃしてる画面をOBS等で配信するだけですので、普段生放送ができている方であれば、回線速度は気にしなくてもいいです。
総評:数千円はしてもおかしくないクオリティ
如何だったでしょうか。今回の体験を纏めると「これだけできて無料なのはおかしい!!」という一言に尽きます。個人で開発したら、様々な有料アセットを導入しないと到達できないシステムを備えています。
正直言うと、これの下位互換みたいなVRアプリを作ったりしていたので、素晴らしい上位互換が出て嬉しいやら悲しいやら…。もちろんアセットやシステムに数万円注ぎ込んでいましたので、今は虚無感が凄いです。
システムは完全に『みゅみゅちゃんねる』さんの方で使われていた【技術全振りおじさん】の仕組みがそのまま使われている印象。2016年のVRTSF実験の頃からその名は知っていましたが、技術力が個人の域を超えています。
とにかく、数千円してもおかしくないポテンシャルを持ったVRアプリケーションですので、気になる方はぜひ一度触ってみて欲しいです。
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