ここ数年、「新入社員がPCのメール送信やWord、excelのショートカットなどを知らず、一から教えないといけない」などという話をよく耳にします。
実際スマホが急速に普及した現在では、ちょっとした物事を調べたりする程度ではパソコンを使わないでも済みます。いちいち起動しなくてもスマホ片手にフリックするだけです。簡単に検索できますよね。
このようなことから若者がPCというモノに触れる機会が減っているようです。また、PC自体の売上も低下しているという話もあります。今回はPC普及率と若者のスマホ事情についてです。
PCを使わない若者たち
PCでタイピングするよりスマホ入力のほうがはやい?
大学生~新社会人程度の20~29歳前後の若者はスマホをたくみに使いこなし、フリック入力も早いです。逆に言うと、その分PCを使う機会が減っているのかもしれません。以下の様な記事があります。
記事の情報によると、なんと、最近の学生は大学のレポートや卒論をフリック入力で済ませるというのです。キーボード入力よりフリックのほうが早いので、フリックで文章を完成させ、形式などを整えるためだけにPCを使うそうです。
筆者からすれば信じられない話ですが、最近はこのタイプの学生もよく見かけるようです。以前にテレビでこの手の特集をしていました。モニターの若者何人かにフリック入力とタイピングの速度を測ってもらうというものです。
結果はやはりフリックのほうが1.5倍ほどはやいというものでした、被験者が少ないので参考になるかはわかりませんが、フリック入力のほうが早い若者が実際に存在するという事実に驚いたことを覚えています。
もっと若い世代は音声入力を使う
さらに対象年齢を下げ、中高生、10代に焦点を当ててみましょう。この世代の入力方法に関する記事でこのようなものがありました。
「10代ではフリック入力すら古い」で物議を醸す →※残念ながら記事が削除されていました。
とある10代の若者がTwitterで、なんでみんな音声入力を使わないの?はやいのに、と疑問を投げかけたようです。そして、この意見に賛同する10代が多々いるようです。
彼らからしてみれば、フリック入力をしているより、音声入力で喋ったほうが断然入力が早いんだそうです。ホントなのだろうか・・・・。そんなことを思っていたら、以下の記事を見つけました。
スマートフォンでは音声入力がキーボード入力よりも約3倍高速という調査結果が発表される
この調査結果によると、言語に差はありますが、音声入力のほうが約3倍早いんだそうです。驚きの結果ですね。これは筆者にとってはかなり意外な結果でした。だって、「喋ってください」「認識中です」とかいうプロセスがあるんですよ?それでも早いのは凄い。
あと、音声入力が実装された当初を知っている身としては、その認識精度はどうなのだろうか、という点です。結構発音難しくないですか?特に早口だったり、聞き取りづらい声の人もいるでしょう。その点を踏まえたとしても、早くて便利なのだろうか・・・・、と気になってしまいます。
実際は認識精度も日々向上しているんでしょうが、まだ信頼を得られるまではいっていないように筆者は感じます。
入社して苦労することになる
スマホ世代だから? 今年の新入社員の1割以上がパソコンの知識皆無
上記のような現状を見ると、若者がPCを使わなくなってきている、という話にも納得がいくのではないでしょうか。フリック入力で完成させた卒論をだして、来年度から会社で働く、友達とのやりとりはLINEなどのメッセンジャーアプリなので、メールというものに触れる機会が少ない。
こうなると、会社で事務をするときに困るでしょう。取引先との連絡手段は電子メールであることも多いです。LINEのように友達登録するわけにはいきません。TOやBCCなどの用語の理解も必要です。
そうなるとPCで作業をすることになり、おのずとタイピングがメインになります。ここで困る新入社員になるわけです。フリック入力でメールを送ることはできません。(電子メールの保存やソフトは会社のPCデータ内ですから)無理やりな方法で、フリックで入力してPCに送信するという手段もありますが、そんなことを何度も繰り返していると日が暮れてしまいます。
一昔前は、「若者はパソコンに詳しい」なんて常識があったはずなんですが、現在はそうも言えないでしょう。
PCを使わなくなった現代
若者と言わずとも日本国民全体の端末利用状況としても、以前と比べて変化はあるようです。そのような統計情報を以下にまとめました。
簡単なことはほぼスマホで調べる?
ちょっとした調べ物や、すぐに知りたい情報を検索するとき、皆さんはどんな端末を使うでしょうか。筆者はもっぱらスマホです。家ではPCで検索したりもします。半々といったところでしょうか。では、世間全体でははどうなのでしょうか。以下の表を御覧ください。
これは、当サイトの直前1ヶ月のアクセス端末を調べたものです。(大体150000PVほど)実に60%がモバイル端末でのアクセスになります。タブレットを足すと70%。PCのアクセスは30%になります。
さて、ここで当サイトの記事の構成を考えてみます。当サイトはかなりガジェットよりのコアな話やGPU評価、PCレビューなどの記事も多く取り扱っています。従ってモバイルよりはPC向けのサイト記事も半分ほどあるわけです。
それを踏まえても約70%がスマホ、タブレットからのアクセスです。スマホの記事ばかりだとそうなるのも仕方ありませんが、当サイトはそんなこともないので、やはりスマホが検索閲覧ツールとして普及しているということでしょう。若者と言わずとも、ネット利用者全体がスマホを使う機会が増えているというわけです。
スマートフォンの普及率は全体の70%を超えた
上記のグラフは、東京におけるスマートフォンの人口に対する普及率のグラフです。(調査対象は約400人の社会人)2010年には約10%だった普及率が、今年2016年では約70%にまで増えています。
男女含め70%という数字はなかなかのものです。働いている中年層まではほぼすべての人が持っていると言ってもおかしくないような調査結果でしょう。このようにネットを見る世代のほとんどがスマホを所持するようになったことも、スマホでのアクセス比率が多い要因でしょう。
逆にPCの出荷台数は低下している
2015年国内PC出荷台数は前年比31.9%の大幅減、MM総研調べ
スマホの急速な普及に伴い、国内のPC 出荷台数は大幅に減少しているようです。上記のような記事を見つけました。
これによると、昨年に比べ、国内のPC 出荷台数は31.9%も減少しているとのことです。かなりの数値ですね。ここ数年は出荷台数は毎年下がりっぱなしだったので、そのことを踏まえると如何にPCが売れなくなっているかということがわかると思います。
原因はやはりPCを使うか機会が減った、タブレット端末への移行、スマホの普及などが挙げられるでしょう。
若者とパソコン、スマホの今後
先の項目で、現状では約一割の若者(新入社員)がPCのを扱えないとの記事を紹介しました。この状況は、更に加速していくでしょう。
ましてや、今の10代は音声入力をメインに扱う人まで出ている状況です。もはや手すら使わない。これは現在の企業の環境とマッチしませんね。あまりいい傾向ではないです。
この先の未来を考えると、新入社員研修にPC操作を教えるという項目が一般化しそうだと筆者は考えます。現状、業務にPCは必須です。しかし、若者はPCを扱えない人が増えている。となると、より詳しいひとつ上の世代がPC操作を教えることになるでしょう。
なんだかおかしな図な気もしますが、遠くない未来にはそれが一般化しそうです。そして、現状ではPCによるレポート提出がメインの大学でも変化は起こりそうです。
より先進的な、新しい動きをするような大学はスマホによる提出を許可するところも出てくるかもしれません。レポートというと手書きが普通だった時もあるのですから、今後提出方式が変わる可能性は大いにあります。
このように、PCの普及減少とスマホ利用者の増加、若者のPCの離れは社会に大きな変化を与えることになりそうです。筆者自身もそうなった未来についていけるように、今からスマホのフリック入力を練習しておきますね・・・。