『BIQU Magician』レビュー:2.6万円の激安3Dプリンター

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BIQUより発売されているあまりにも安すぎる3Dプリンター『BIQU Magician』を一通り触り倒したのでレビューです。デルタ型の高品質なユニットを備えてお値段が2.6万円とマジで安い。

本機体は中国系ガジェットですが輸入等の必要はなく、普通に日本アマゾンで購入可能です。公式が販売しているので安心。トラブル時のメールサポートもレスポンスが早いです。

BIQU Magicianのスペック詳細

BIQU Magicianの詳細スペック表

BIQU Magician
造形仕様 FDM (溶融堆積モデリング)
言語サポート 本体言語変更可能(日本語あり) 日本語マニュアル付属
使用素材 PLA 1.75mm 190~230度 (温度設定は275度まで)
印刷可能サイズ 100mm x 150mmまで
本体操作パネル 2.8インチタッチスクリーン 抵抗膜方式
純正スライサー SDカード内に付属、サンプルモデルデータあり STL OBJ
本体サイズ 220mm x 250mm x 420mm 約4kg
付属品 交換用ヘッドノズル、スクレーバー、のり
フィラメント、SDカード&リーダライタ、アダプタ
レンチ、アプデ用USBケーブルなど多数
価格 2.6万円~3万円程度

上記が今回購入した”BIQU Magician”の詳細スペックとなります。一般的な家庭用3Dプリンターと同じFDM方式の造形に対応し、日本語を完全サポート。マニュアルも本体も日本語です。

フィラメントはPLA形式に対応、PLAは造形後の加工、塗装こそ難しいですが、熱による過度な収縮がないのが利点。また非常に硬いのでマシンパーツ等の造形に適しています。最大印刷サイズも10x15cmとそこそこ大きく出力できる。

2.6万円の激安機体ながらも本体には抵抗膜方式のタッチパネルを搭載。直感的な操作が可能で使いやすいです。本体サイズもデルタ式ならではといった感じで非常にコンパクト。デスクに置けます。

スライサーソフトも標準で付属。予め本機体の基本設定データを読み込んでくれるのでめちゃくちゃ簡単に印刷できます。ソフトはWin7以上、またはMac専用ですので注意です。

外見の印象:思ったよりコンパクトで何処でも置けそう

届いた箱はズッシリ重く、思ったよりデカイ。しかし中身である本体は以外に小さく感じます。デルタ型プリンター特有の縦に長いデザインのせいでしょうか。デスクなどにも問題なく置けるような大きさ。

付属品がぐるぐる巻きで強固に取り付けてあるので取り外しに注意です。取り付け場所のベルトなどを切ると再起不能になります。むき出しなのでマジで注意。

付属品はこんな感じ。ノリとかスクレーバーとか、造形加工に必要なアイテムを一通り揃えてくれています。一部ではアダプタが付属していないトラブルがあったようですが、今回注文した回ではしっかり付属していました。

フィラメントは1.75mm、ホワイトカラーが一個付属。設定温度は190~230度と書いてあります。湿気でトラブルが起こらないように真空パック状態で届きました。

SDカード内にスライサーソフトや多国語マニュアル、サンプルデータなどがギッシリ詰まっています。十分すぎるぐらい。更にSDカードを読み込むためのUSBリーダ&ライタまで付属している親切設計。

こちらがプリントヘッド部周辺。稼働時は3つのファンがまあまあ全力で回ります。筆者環境では本体ベルトとヘッド部を接続している+ネジが緩んでおり、造形中に”ガン!”と外れて大変な目に合いました…。

出力前にネジの緩みは確認したほうが良いです。安全ストップ機能なのは皆無ですので、最悪外れて再起不能になる可能性もあります。

こちらがエクストルーダー部。アマゾンの販売ページに『エクストルーダを新しくしました!』と記述があったのですが、確かにyoutubeなどのレビューやアマゾンレビューとは違う形になっています。

なんというか、前のやつよりメチャクチャ安っぽい。全面を覆う保護パネルもないし…。そして、こいつのせいで筆者環境はトラブルが多発しました。この点は後述します。

スライサーソフトもメッチャわかりやすい。すぐできる

出力するモデルデータを設定する純正のスライサーソフトも直感的でわかりやすいです。UnityやMMD、CAD、Blenderなど、何かしらの3Dモデルデータを扱うソフトウェアを使ったことがある人であれば説明書不要かも。

基本的には読み込んだモデルデータをXYZ軸で移動、拡大縮小、印刷しやすいように寝かせたりなどメッチャ簡単にできます。日本語マニュアルにも使用方法が書いてあります。

そしてこちらがBIQU Magician本体の設定画面。同じソフトウェア上の画面で設定します。造形データごとに分けることができる仕様のようです。細かな数値がわからない人も多いと思います。(筆者もはじめはサッパリでした…)

基本的には日本語マニュアル通りに設定すれば印刷は可能です。そもそも基本の設定データが読み込まれた状態で起動するので、ノータッチでも印刷できます。

※初期設定ではprintSPEED 60、travelSPEED 120になっていますが、40、80ぐらいまで下げたほうが安定した造形ができるように感じました。その分出力時間は長くなりますが…。

細かい造形時にノズルが一時的に詰まるトラブル

さて、前述しましたエクストルーダー関連のトラブルの話です。基本的にyoutubeレビューやマニュアルを見て設置、設定すれば、何も悩むこともなく簡単に印刷できるのですが、ウチの環境ではトラブルが多発しました。

具体的に言うと、『移動(出し入れ)が多い層の造形においてノズルが一時的に詰まる』というトラブル。しばらくエアプリントしていると復活する謎の仕様。

3Dプリンタ初心者の筆者はかなり頭をかかえ、ヤフー知恵袋の有志にも協力を仰ぐこと1週間…。なんとか解決したのですが、恐らく”エクストルーダを新しくしたことによる不具合”です。

プリント速度を変えても、移動速度を変えても温度を変えても解決しなかった(一番多く指摘されたポイント)不具合はエクストルーダーの動作速度を変えるというピンポイントな設定変更で解決しました。

これ、中々気づかなかったのですが、ソフト内の詳細設定で非表示状態になっている設定が大量に出てくるんです。エクストルーダー設定も最初は無かったので4.5日苦戦しました。のちに存在することが判明。

ここの設定(retraction Speed)を半分以下に下げることで問題は全て解決。細かな造形が連続し、ノズルからフィラメントが出てこなくなる不具合は解決しました。

エクストルーダー系が命令に追いついていない・加熱がワンテンポ遅れる』このボトルネックに気づくのに時間がかかりました。

細かい造形を繰り返している時に『ガコン!』とエクストルーダーが滑っているような音がしている場合は筆者と同じ症状です。フィラメントが溶けておらず、送り出せていないのです。エクストルーダーの速度自体を下げることで改善します。

※ヤフー知恵袋で親身に相談に乗ってくださった方々、様々な案を出してくれた方々にこの場で改めてお礼を申し上げます。解決の糸口になりました。助かりました。

実際の造形:メッチャ綺麗に印刷できます。

実際に何点かSTLデータを出力してみました。まずは20面キューブ。よくある20パターンサイコロですね。非常に綺麗に造形できています。2.6万円でこれが作れたら上等でしょう。大変満足です。転がしても数字が偏ることはありませんでした。完璧。

また、設定で充填(Infill)を高めることによって内部空洞を埋めることができます。要はズッシリ重いサイコロと軽いサイコロ両方作れます。重く作ったサイコロは石のような高級感があります。出力時間は4時間程度。

お次はローポリの犬。かなり小さく出力しましたが上手く作れました。元々ローポリなので形はポリゴンっぽいですが。足の細い部分も折れること無く綺麗に造形されています。

この犬は積層(layer height)を0.25mmにして一層をぶ厚めに出力しています(defaultは0.15mm)。厚く出力することによって造形時間の短縮が可能です。その分、一層辺りの細かさを犠牲にしますが…。この犬で1時間ぐらいです。

サンプルデータで付属していたカンフーパンダを50%の大きさに縮小して印刷した結果です。初期設定では足や耳がエクストルーダーの不具合で印刷されず、苦労しました。

設定変更ののち、造形に成功。マジで小さいので耳や手は若干いびつな形になっていますが、それでもしっかり出力されています。十分な結果になったので満足です。

色々試しましたが、基本的には小さいオブジェクトの細部造形には向いていないです。ある程度大きさのあるオブジェクトか、小物でも細かい突起がないものが相性良いです。

総評:値段を考えれば大満足な3Dプリンター

如何だったでしょうか。今回購入したBIQU Magicianは購入価格の割には大満足な一品でした。トラブルが多発したのは確かに悩ましい事態ですが、値段を考えると許せる範囲。

しかし3Dプリンター初心者にお勧めできる機体かと言うと、届いた時点でネジが閉まっていなくて動作中に外れたり、非表示の設定を出して変更しないとマトモに動作しなかったりなど、とにかくオススメできません。

ある程度知識のある方、またはガジェットの扱いに長けている方でないと満足の行く結果にはならないと感じました。(筆者も一週間苦戦しています…)

サポートも返信こそ早いですが、基本的にはこちら側でなんとかするようにアドバイスされますし、こちらの説明を翻訳ミスしている部分もあるというレビューも見ました。「公式サポートがなんとかしてくれる」と安易に購入するのはオススメできません。

まさに『値段の安さ』で許せる機体、といったところ。予算がないけど、どうしても3Dプリンター触ってみたい!!という方はチャレンジしてみてもいいかもしれません。

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