キャッシュレスが進まない国、日本で1ヶ月間キャッシュレスで生活してみようとトライしてみた記録です。ちなみに筆者は2018年の7月までFeliCaなんて使ったことなかったし、交通icを持ったことすらありませんでした。
「完全にキャッシュレスできるようになってから一気に移行しよう」とウズウズしながら、電車に乗る度に券売機で券を買っていた身です。しかしいつまで経っても普及が進まないので、完全普及後移行は一旦諦め、電子マネーをいろいろ試してみました。
世界的には”キャッシュレス”は当然のように生活に浸透している
キャッシュレスな生活は世界的に加速しており、スウェーデンなどでは銀行が通貨を取り扱わず、お店も「現金お断り」とすることが増えてきたそうです。中国でもアリペイ、銀嶺、Wechatpayの普及により、首都圏での現金支払いは見かけなくなりました。
「飲み会の時どうするんだよ!現金無いと不便だろ!」という人もいるかも知れませんが、Wechatは日本で言うLINEのようなメッセージシステム。このWechatと連動しているWechatPayに皆登録しているので、割り勘はアプリで即座に行われるワケです。
日本でいうクレカや口座のような物に連結しているので現金を見かける機会は本当に少ない。つまり、割り勘時に一人現金の人がいると支払い方法のシステムが複数になるのでめっちゃ困る。と、もはや現金派がアウェーになっているような状況も見かけます。
さらに、固定回線が届かないような屋台などでもキャッシュレスは進んでいます。日本では電子マネー払い(FeliCa)をするためにはクレジット系の機械を店側でネットに繋いでおく必要があります。
しかし中国などで急速に普及した支払いシステムはQRコードをスマホで読み取る(または相手に読み取らせる)というもの。こちら側にスマホがあれば値段設定、支払い確定などがWeb上で完結できるワケです。めっちゃ簡単。屋台はQRコードを貼ったダンボールでも置いておけばいいのです。
このように、全ての場面においてキャッシュレスは普及していますし、この普及によって強盗などの被害が無くなるという相乗効果も生まれています。そもそも現金が無いワケですからね…。
ちなみに日本はダントツで普及率が低い。韓国、スウェーデン、中国首都圏などは80%超えの非現金支払い率に対し、日本は15%程度だったハズです。先進国でこの低さなのはドイツぐらい。
まずはどの”媒体”の電子マネーを使うか決めた
前置きが長くなりましたが、キャッシュレス生活をしてみた話に移りましょう。キャッシュレスするにあたって、まず考えたのは”媒体をどうするか”です。電子マネーには「おサイフケータイ」や「カード型IC」「クレジットカード」などがあります。
日本でキャッシュレスを実行する為にクレジットカードは絶対に必要と判断。電子マネーは種類が異常に多く、対応非対応の差が激しいのに対し、クレジットカード(特にVISAとMASTER)は大抵の”クレカOK”のお店に対応しているからです。
しかし、商品を購入する度にクレジットカードを渡して、サインor暗証番号入力をして、返してもらう、というプロセスを介さないといけないのは面倒くさい。コンビニなどのように省略できるならまだマシですが…。
ということで、可能なら電子マネー、ダメならクレジットカードという流れを作ることに。おサイフケータイもモバイルSuicaなどメッチャ便利なので検討したのですが、今使っているスマートフォンが対応していないので見送ることに。
メイン使用は”MASTERカード+iD”にすることに
電子マネー選択でまず考えたのが「チャージが面倒くさい」ということ。せっかく現金を持ち出さない、使わない日々を送ろうとしているのに、「あっ、チャージしなきゃ」となるのは本末転倒というか、意味がない…。
ということで、『ポストペイ型』と言われるクレジット連携などで引き落としされるシステムの電子マネーを使うことに。今回は普及率No1と言われている”iD”を選択。連携することができるdカードを新たに作りました。
”クレジットカード内蔵型”を作ったので、1枚持つだけでクレジット+iDの機能が使えることに。持ち物を減らすことに成功しました。実際使ってみてもこの組み合わせは非常に便利です。
しかし、店の中には”楽天Edyは使えるのにiDは使えない”といった店舗もまだまだあり「じゃあクレジットカード使うか…」となる場面も結構ありました。また、電車など交通機関にキャッシュレスで乗れないという大きな欠点もあります。
サブ使用&交通用に”SMARTICOCA”も用意
前項で述べたiDだけでは払いきれないという不便な部分をカバーするために、サブ電子マネーとして交通系ICカードを作ることを検討しました。これによって交通系キャッシュレスも実現するという考えです。
更に交通系ICは地方でも相互利用が可能になっており、飲食店などでもメチャクチャ幅広く使用することができます。先程の”iDが使えない店舗”の対策としてこれをサブで忍ばせておくことにしました。
しかし、交通系ICは基本的にポストペイが不可能です。『オートチャージ』などは一部にありますが、”対応している改札を通過”しないとダメという微妙な仕組み。筆者は様々な交通での利用に加えて、店でも使うつもりなのでこれは困る。
おサイフケータイの”モバイルSuica”はスマホからいつでもクレカチャージができる抜群の利便性を備えているのですが、今回はスマホが対応していないので利用することができません。
最終的に”SMARTICOCA”を利用することにしました。筆者は現在関西圏に居るので契約することができます。ポストペイもダメだし、改札型のオートチャージにも対応していませんが、”クレジットチャージ”が可能です。
クレジットチャージは関西JRの各駅でSMARTICOCAを挿すことで利用することができ、現金不要、クレジット差し込み不要で2万円までチャージできるというもの。クレジットカードは予めネットで紐づけてあります。
なんだか良くわからないシステムですが、オートチャージみたいに改札を通る必要もないのでコレで妥協することに。上限の2万までチャージしておいて、残り少なくなった際にはJRに立ち寄ったときに挿すようにしました。
これによって、人生初の”電車でピッとキャッシュレス入場”を体験することに。お恥ずかしいのですが初回は結構緊張しました…笑。スムーズに交通機関に乗れて非常に快適です。
iDが利用できない店舗でも、交通系は使えるのでコレで解決できるようになりました。基本的にサブで利用するので残高はあまり減らないですが、確実に電子マネーで払えるようになったのは嬉しいです。
とはいえ、2~3ヶ月に一回、JRでチャージ機に挿す作業は結構不満が残りますが…笑。現在の運用では、交通系ICは必須です。
電子マネー用のケースも買いました
クレジット+iD+SMARTICOCAの3段構えで生活することにしましたが、重ねて持つとIC同士が干渉してしまうため、横開きのタイプの合皮カードケースを買うことに。100円ショップで108円で購入しました。
トラブル時のために折りたたんだ1000円や、名刺なども一緒に入れることに。財布より格段に小さいのでポケットに余裕で入るし、歩いていて重さや違和感がない。支払いはポケットから取り出してタッチするだけ、と非常にスムーズ。
荷物を持っているときや急いでいる時、財布が出せない時などの支払いが非常に快適になりました。電車も楽に乗れるし、カバンを開ける必要もないです。
電子マネー不可の時にクレジットカードを取り出せるのも便利。この小さいケース一つでできることは多いです。
結局、電子マネー生活一ヶ月送ってみてどうだったのか
筆者はどちらかというと都会側に住んでいるのですが、普段の日々において財布を出す機会は格段に減りました。お昼のランチ(チェーン系)は大抵クレジット、もしくは電子マネーに対応しているし、最近は松屋などの格安系飲食でも電子マネー支払いができます。
交通での移動はSMARTICOCA、コンビニは全部iD払いです。道を散策中にちょっと喉が乾いたらIC自販機でiD払いができます。帰宅時、晩飯を買うためにスーパーに寄りますが、ほとんどのスーパーは電子マネーorクレジットカードに対応していました。
更にちょっと寄るようなカフェ、ファーストフード、駐車場、映画館、100円ショップまで電子マネーorクレジットカードに対応していたので、マジで仕事の日は現金を出すタイミングがない…。予想以上にキャッシュレスできました。
非常に快適だったが”非日常”では不便な面も多い
ここまではキャッシュレスできた良い話でしたが、全てがキャッシュレスでいけるわけではないです。やっぱり不便な面も多かったのが現実。一番感じたのが”割り勘”です。
前項で”海外は割り勘もキャッシュレス推奨!”なんて書きましたが、日本では現金じゃないと難しい。『アプリで割り勘!電子で割り勘!』なんてのは夢のまた夢…。そんなこと誰もしていません。個人の居酒屋さんなども現金の店が多い。
複数人で行動となると一気にキャッシュレスは難しくなると感じました。大抵、支払いには現金が必要となります。
更に、旅行など”休日”を過ごすことにもキャッシュレスは不便です。筆者は温泉やキャンプ、釣りなどアウトドア全般を趣味としているのですが、温泉なんて大抵現金でしか払えないし、釣具屋、キャンプ場なども現金払いです。
田舎のキャンプ場でクレカが使えるなんて誰も考えていないとは思いますが…笑。とにかく休日、というか外に遊びに行くタイミングは現金が必須だと感じました。
そして、そんな旅行などから帰ってきた際には、コンビ二などで無意識に財布を出してしまうという、なんだか意味のない展開に…。ちゃんとキャッシュレスできていません。
また、”病院”などでも現金払いが基本です。一部の大学病院などではクレカ払いができますが、まだまだ9割以上は現金でしょう。毎週病院に通っている人などはこの点を考慮する必要がありそうです。
総評:日本ではまだまだ現金が必要だった…
如何だったでしょうか。今回は”それなりに都会・仕事で外に出る・休日はアウトドア”という状況で1ヶ月過ごしてみましたが、結果としては『普段はキャッシュレスで生活できるけど、休日など非日常は現金がないと厳しい』という結果になりました。
首都圏では不便を感じる機械は少ないですが、チェーン系以外の施設や田舎の個人経営系などでは現金は必ず必要になると思ったほうが良いでしょう。”キャッシュレスに完全移行”は難しかったです…。
友人との食事や飲み会、旅行なども大きな課題です。中国でいうWechatのような急速な普及によって「みんなコレで割り勘してるよ?」という状況にならない限りは現金は付きまとうでしょう。また、コレを実現するには現在の電子マネーシステムではダメです。
”電子マネーの種類の多さ”も気になったポイントでした。結局、一枚では間に合わないのが残念。筆者は2枚でなんとかしましたが、できれば1枚orおサイフケータイで完結させたいですね。おサイフケータイにしてしまうとクレジットカードが持てないのが不便ですが…。
皆さんもキャッシュレスチャレンジしてみませんか?”日常の普段使いにおいては”劇的に快適になりますよ…!。
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