大手MVNOであるmineoが通信の最適化を行っていることが4月の後半から話題になっていましたが、その後、SSL化されている通信に対しては追加で『帯域制限』をかけていることがわかってきました。
今回は、通信の最適化とSSL通信の帯域制限、そして『mineoのイマ』を纏めました。
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”通信の最適化”問題とは?画像がめちゃ汚くなる
”通信の最適化”はインターネットサイトや動画サイトなどのコンテンツに圧縮処理等を施してユーザーに提供する仕組みのことです。要は質的に劣化したデータを私達は見ることになるので、全く”最適化”ではないです。(上記テストでは約43%に軽量化されている)
各サイトのデータは『サイトのサーバ→プロパイダ(mineoなど)→ユーザー』と届きます。この『プロパイダ』の時点でデータの改変が行われるワケです。貴方が今見ている動画やサイトの画像が汚くても、それはプロパイダのせいかも…。
今回、人気の高いMVNOであるmineoがユーザーに告知することもなく、この『通信の最適化』を行っていたことが問題となっているのです。そして、このシステムは現状mineoではONをOFFを切り替えることができません。
そもそも通信の最適化は大手3キャリアも実施していた
docomo、au、SoftBankに関してもこの『通信の最適化』は2015年頃に実施されており、一部のユーザーの間で問題として拡散されました。その後SoftBankはこのシステム自体を停止することとなったようです。(現在でも最適化は行われていない模様)
docomo、auに関してはシステムをON、OFFできるシステムを導入し、ユーザーが自由に切り替えられるように配備しました。これによって『通信の最適化』問題は決着したのです。
大手3キャリアが導入後、最適化を停止した(停止できるようにした)ほどユーザーから不満が相次いだシステムであることは周知の事実。これを今回mineoは取り入れたということです。
更に、mineoは”帯域制限”も実施していることが判明
話はまだ終わりません。むしろこっちがメイン。先程の『通信の最適化』はプロパイダ側が圧縮する物を判別するために、”データを覗き見る”必要があるのです。そのため、SSL(https)という『暗号化処理』が施された最新のインターネットサイトでは、最適化を実施できないのです。
近年のインターネットサイトは『ほぼほぼ9割以上』と言えるぐらい、SSL通信に対応していますので、通信の最適化は徐々に効力を無くしています。そこで、mineoはこのSSL通信にも制限をかけはじめました。
具体的には、SSL通信をしているポート自体を帯域制限しました。(ポート443)要はSSLで暗号化されているインターネット通信全てを丸ごと速度低下させているのです。通信の最適化以上にタチが悪い。
mineoユーザーならわかるかも知れませんが、やたらGoogle Playのダウンロードが遅かったりしませんか?アレです。具体的には最初の6秒間は2Mbps、その後徐々に下落していく通信速度になっているようです。
『YouTubeの240p画質が1Mbpsで辛うじて見られる』と言えば分かりやすいでしょうか。それぐらい速度は遅いです。15年前のADSL(電話回線)より遥かに遅い。これをSSL通信全てで実施しているということです。アプリのダウンロードも、YouTubeも、9割のインターネットサイトも、全て低速通信です。
しかも、この帯域制限に関しては『公式未発表(5/3現在)』です。マジかよ…。何の連絡、告知もなくADSL以下の速度に落とし込まれているユーザーが不満を感じないハズないでしょう?
一応、通信回線への負担が軽くなる23時以降は帯域制限が解除される模様。23時を過ぎると急に速度が爆上がりします。しかし日中(11時)になるとまた制限は復活…。これでは快適とは言えないです。
大問題の帯域制限、規約には一応書いてある
ここまでの流れを見れば「ユーザーに無断で速度を抑えるなんておかしい!解約だ!」と誰もが不満をぶちまけそうですが、そこは大手企業、関西電力さんです。しっかりと規約にて帯域制限を明記されているのです。
『ネットワーク状況により、ポート規制を実施する場合があります。』ここです。一応規約では明記してあるため”規約違反”ではありません。が…現状の帯域制限はあまりにも設定がキツすぎます。ユーザーも納得しないでしょう。
現状、mineoで電話番号を変えたくない人は解約も厳しい
ここまで読んで頂ければ「規約違反でもないんじゃ仕方ないね!もう解約してやるよ!」と踏み切るユーザーもいるかと思います。しかし!電話番号を持ってるユーザーが転出するには12420円が別途必要です。
”MNP転出手数料”というものですが、契約後13ヶ月目以降に2160円に値下げされるシステムとなっています。「一年以内にMNPするなら+1万円ぐらい払えよな!」ということ。
これもキッツい仕様です。仕事用の電話番号などで最近mineoにMNPしたユーザーは1万円追加で払うか、諦めて使うしかない…。地獄のような2Mbps規制MVNOと1年間お付き合いする日々が待っています。
まとめ mineoの運営体制自体にかなり問題がある
如何だったでしょうか。現状、SSL通信自体を活動時間帯に2Mbps規制しつつ、その実測値や規制情報を全く公開していないMVNOはmineoのみです。(筆者が知る限りでは、現状、このような非公表な制限は他では実施されていない)
追記:他社を一斉調査した方が現れました。どうやら、NuroとBIGLOBEもHTTPSの帯域制限を実施しているようです。
このような帯域制限を実施する要因には『ユーザーの急増』『ネットワーク強化不足』『契約の安売り』などが挙げられると思います。
mineoは昨年頃から『12ヶ月半額キャンペーン』や『半年間700円~900円引きキャンペーン』などを毎月のように実施してユーザーを増やしていました。ここ1年~2年ぐらいは、いつ見てもこのようなキャンペーンをやっていた。
これにより、他社より圧倒的に安い維持費でMVNO契約ができる。→ユーザーが急増した結果、回線の強化は追いつかず、また利用者から料金も回収できないため、回線強化に充てる資金も足りない。
ただでさえ近年のMVNOは運営が厳しいと言われているのに、大幅な安売り。これでは極端な”帯域制限”を実施する未来しか待っていないでしょう。運営方針自体に問題があるといえます。
皆さんはこんな『mineo』と契約したいと思いますか?よく考えてMNVOを選んでください。以前、このMVNOをオススメしたことがあるmineoユーザーの筆者も今回の件にはドン引きです。今後このような大幅規制が少しでも緩和されることを願います。